児玉語録9月号「笑いと明るさの効用」を掲載
2019/09/05
『 笑いと明るさの効用 』
2004年の夏、全日本大学卓球選手権大会(団体の部)、通称インカレ。
選手にとっては、経験したことのない貴重な体験をした。
大会初日の予選リーグで、関西学連の二部で低迷している関大に、明大は不覚をとった。
私はその時、日学連の理事会に出席していたため、その試合を見ていなかった。
理事会が終わり、ホテルに戻る車の中で、関西学連の理事からそのことを知らされて、 「まさか?」と思ったが、それは事実だった。
私はホテルに帰り、すぐに選手を集合させ、鏡を探した。
やっとトイレの中に2m角ほどの鏡が見つかり、そこへ全員を連れて行った。
そして鏡に向かって、「何でもいいから笑え」と命令した。 しかし皆、なかなか笑えない。
そこで再度、「苦笑いでもいいから、とにかく笑ってみろ」と言って、私自身が「へへへ」と苦笑いをして、「真似をしろ」と全員に呼びかけたところ、全員が苦笑いをし始めた。
するとお互いにその苦笑いの顔がおかしいと言い合って、とうとう本当にゲラゲラと 笑い始め、その後しばらくの間、全員が笑いの渦に巻き込まれて
心の底から笑うことができたのである。
そして直後にミーティングを行い、「よし、これでお前たちは笑ったことによって、
ドーパミンというやる気や意欲や快感を与えるホルモンが、体中に充満した。
明日の試合は絶対大丈夫だ。今夜はぐっすり寝て明日は新たな気持ちで願晴ろう!!」
と言って解散した。
そして翌日、決勝トーナメント。明大は予選2位通過だから、抽選の結果、
1回戦で優勝候補の一角の愛工大。準々決勝は春リーグ優勝の中大戦を、
強気と粘りによる逆転の連続で撃破。準決勝では優勝間違いないと言われていた青森大に、物凄い執念を発揮して、勝利に結びつけることができた。
試合が終わった瞬間、観客席で応援していた4年生部員が感動のあまり号泣した。
そして、母校には関係のない多くの観衆の方々が涙ぐんでいる姿を見かけ、
これがスポーツの醍醐味だと感じた。
( 複数の本部役員の談、「明治以外の大学では青森大には勝てないでしょう」 )
試合後、青森大の河野監督は「明治の伝統の力にやられました」と私に語った。
私は30年ほど前から「笑顔の効用(笑顔と明るさ)」について、
ことある毎に、その重要性を強調してきました。
3年前のリオ・オリンピックでは、試合の1週間前に
・ 本番では笑顔と明るさだ!笑顔は体中の筋肉を柔らかくしてくれる・ 大事な場面でリラックスしよう!そして集中して思い切れ!
というコメントを水谷選手や丹羽選手などにメールで送った。
もちろん彼らは理解している事ですが、
大会直前に改めて確認することも、大事なことだと思ったからです。
8月初旬に行われたゴルフのAIG全英女子オープンで、渋野日向子選手が、
メジャー大会での日本女子選手としては42年ぶりの快挙で優勝しました。
渋野選手は、ラウンド中、笑顔を絶やさなかったことが話題となり、海外のメディアから
「スマイリング・シンデレラ」と賞賛されました。
笑顔でリラックスし、そしてボールを打つときの真剣な顔つき、眼差し。
集中した時と、リラックスしたときの差が大きければ大きいほど、集中力は高まる
―――ということを彼女は実践して見せてくれました。
笑顔はリラクゼーション、安心感、ゆとりを与えます。
特に緊張が高まる状況では、筋肉の緊張を解き放ち、力と勇気を与えてくれます。
“笑顔は1ドルの元手もいらないが、100万ドルの価値がある”
これはデール・カーネギーの言葉です。
私は2003年に制定したスヴェンソンの行動指針(10カ条)の第一章に
「笑顔と明るさを大事にしよう」を掲げました。
笑顔は 元気 ・ 活気 ・ 勇気 の源
ストレスを浄化して、プラスのエネルギーに変えてくれる
笑いは百薬の長、常に笑いがあり、常にプラス発想が出できる職場づくりを目指そう
笑顔と笑いには不思議な魔法があります。
心から湧き上がる笑いは自らを解き放ち、力と勇気を与えてくれます。
私は “人生で一番大事なのは笑いだ” とさえ思っています。
児玉圭司名誉総監督
昭和35年~45年
明治大学体育会卓球部監督
昭和45年~令和2年
明治大学体育会卓球部総監督
令和3年~現在
明治大学体育会卓球部名誉総監督
(株)スヴェンソン 代表取締役会長
日本学生卓球連盟 名誉会長
明治大学駿台体育会 名誉会長
- 昭和31年
- 世界選手権シングルスベスト16
- 昭和40年
- 第28回世界卓球選手権 日本代表監督
- 昭和48年
- 第32回世界卓球選手権 日本代表監督
- 昭和50年
- 第33回世界卓球選手権 日本代表総監督兼監督