児玉語録3月号『信念と自己暗示法』
2021/03/05
2021.3.1
『 信念と自己暗示法 』
~進百歩と退一歩~
私の干支は亥年です。
皆さんからは 「兒玉は猪突猛進で負けず嫌いだからな」 とよく言われる。
確かに私は 「これはやろう!!」 と思ったことは、信念を持ってやり通そうと思って、
意志を曲げずに努力してきたように思う。
私は1956年世界卓球選手権の日本代表に選出された。
当時1950年代は日本が圧倒的に強く世界を制覇していた時代である。
私はそれまでもランニングは毎日やっていたが、今以上に足腰を鍛えなければ世界では闘えないと思い、代表に決まった翌日から毎日 真冬の朝の4時頃に起きて芝浦の海岸をランニングした。
「俺は外国の選手には負けないぞ。絶対に負けないぞ。」と口の中で呟きながら走っていた。
4ヶ月後に世界選手権が始まり、私はドイツのマウリッツ選手(後にドイツ卓球協会の会長)、ロンドン大会で荻村選手と決勝を争った、世界2位のフリスベルイ選手(スウェーデン)、 前年世界ベスト8・アメリカチャンピオンのブキエット選手等に勝ち、ベスト16に勝ち進んだ。そして当時世界チャンピオンの田中利明選手と同士討ちとなり、負けた。
同士討ちとなったことは非常に残念に思ったが、しかし自分としてはやるだけのことは やった…という満足感はあった。
このときの経験で、信念を持つということと、自己暗示をかけるということが、いかに大事であるかを、体験を通して実感することができ、その後の人生に大きく影響させてもらった。
◆私の信念を持つための自己暗示法
私は、大きな夢と目標を持っていて、前向きだ
私は、目標を持って行動することが大好きだ
私は、困難に向けて挑戦することが大好きだ
私は、高い目標を掲げて心を燃やして行動する人間だ
私は、決断力抜群で意思の強い人間だ
私は、自分を信じ、強い信念を持っている
私は、何事もやり遂げる、必ずやり遂げる
私は自己批判に陥ったり、マイナス思考になったりしたときには、
このような自己暗示を思い出すようにして、自分自身を立ち直せるように努力してきた。
「進百歩」 という言葉があるが、並外れたバイタリティと強い闘争心と行動力で猪突猛進 するという意味だろうか。
しかし 「退一歩」 という言葉もある。
物事をやっていく上で猪突猛進していると、とんでもない間違いを犯してしまうことがある。だから、「時には一歩退いて考えなさい」 ということ。
これは決して“消極的になる”ということではなく、「退一歩」とは
「一歩引くことによって冷静になり、視野が変わって広々と見渡せる」 ということです。
「俯瞰(ふかん)する」という言葉がありますが、
広い視野で客観的に、物事の全体像を捉える。自分自身の状況を上から客観視する。
勝負の世界で言えば「不敗の精神」と同じで、相手に攻められている時は“守り”に徹し、チャンスが来るのを待って、その時が来たら また思い切って攻撃する…という考え方で、一歩退く。
立ち位置を一歩変えるだけで、同じ状況でも見え方が大きく変わることがあります。
自分の人生でもふと立ち止まり、来た道を振り返り、見方を変えて軌道修正を試みる。
「 退一歩 」 は 「 節 」であり、「 進百歩 」を確かなものにするための 「 節 」 、と考えていく。
この節目を今後も これまで以上に大切にして今後の人生を歩んでいきたいと願っている。
児玉圭司名誉総監督
昭和35年~45年
明治大学体育会卓球部監督
昭和45年~令和2年
明治大学体育会卓球部総監督
令和3年~現在
明治大学体育会卓球部名誉総監督
(株)スヴェンソン 代表取締役会長
日本学生卓球連盟 名誉会長
明治大学駿台体育会 名誉会長
- 昭和31年
- 世界選手権シングルスベスト16
- 昭和40年
- 第28回世界卓球選手権 日本代表監督
- 昭和48年
- 第32回世界卓球選手権 日本代表監督
- 昭和50年
- 第33回世界卓球選手権 日本代表総監督兼監督