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児玉語録9月号 『原点に戻り、困難な目標にチャレンジしよう』を掲載

2011/08/28

君達が卓球を始めた原点は、何を目指して始めたのか、キッカケは
それぞれ違うと思うが、今の自分はその時の自分とどうなのか、
振り返ってみることも大事だと思う。

今の環境を有難く感謝し、ますますヤル気を充満させて、
大きな目標に向かって突き進んでいる選手もいるだろう。
一方で、壁にぶつかり、易きに流されてしまおうとしている選手も、
いるかもしれない。何を目指しているのか分からなくなっていると
したら、もう一度原点に戻ってみよう。

楽をしようとする、目標のない無気力人間になってはならない。
自分が志した卓球の道は、自分が好きだから選んだ道であろう。

人は成長の段階において、必ず壁にぶつかる。
世界一を目指す者、日本一を目指す者、学生一を目指す者、
リーグ戦出場を目指す者それぞれのレベルでの違いこそあれ、
壁にぶつかった時、「自分はこうありたい」という原点を振り返り、
それに向かって本気で進もうと真剣に思えば、
人間は内側から気力がほとばしってくるものだ。

気力を出せることを知った人間はすごい、
自分でも驚くほどの能力を発揮出来ることを知るだろう。
人間の持っている可能性を信じて、努力しよう。
一生懸命になれば、いくつもの壁にぶつかるのは当たり前のこと。
しかし、一生懸命やらなければ、人は原点に戻るのはおろか、
新たな出発点を見出すことすら出来なくなる。

世の中で成功している人を見ると、みんな自分の得意なこと、
好きなことをやって、その強みを活かして活躍していて、
夢を実現しようとしている。

心理学的に考えてみれば、何かをやろうとした時の動機づけには、
二通りある。
一つは、自分自身の中から、「是非やりたい」という心の中から
自然に湧いてくる気持ちのモチベーション。
もう一つは、外部の人から押しつけられて「やらなければならない」
という、半ば圧力によって動かされているモチベーション。
簡単にいえば、ワクワクしてやるか、シブシブやるかの違いだ。
自分の心の中から湧いてきた動機づけによって、ワクワクしながら
好きなことをやっていれば、いうまでもなく明るく楽しく積極的に
取り組んでいるから、いいアイデアもドンドン出てきて、
自然とよい成果が得られる。

しかし、人から言われてシブシブやっていたのでは、意欲も湧かないし、
効率も悪いので、当然いい成果は得られない。

だから、自分の好きなことや長所を伸ばすことが、大事なのです。
さらに、自分は「運がいい」「ツキがある」と感じる時は、
好きなことや楽しいことをやっていて、自分の能力を十分に
発揮されている時です。

私は会社の経営でも、「困難からは逃げないぞ」と心に決めて
仕事に取り組んでいます。仕事の上で、難しく、厳しい問題が起きた時、
むしろこのことは「自分自身を高めてくれる」と思うようにして、
チャレンジすることに喜びを感じるようにしています。

平常心(思いがけないこと、新しいことに動じない心)をもって対応し、
判断し、決断出来たときは、ワクワクしながら行動に移せます。

大リーガーのイチロー選手は、「最高のピッチャーが投げている、
最高のボールを打つことが、自分にとってのやりがいであり、
生きがいなんです。」と言っている。
普通の選手は、相手ピッチャーの失投を狙いにいく。
その結果、ヒットやホームランになれば、嬉しいと感じる。

イチローは、「最高のピッチャーの最高のボールを打つ」という困難を
目標に設定することで、自分を高められると考え、そのことに喜びや
生きがいを見出している。現状に甘んじず、常に自分を高めようとする姿勢、
そこが超一流といわれる所以であろう。

卓球でも、世界のトップを争うためには、前陣速攻の強烈なラリーの
戦いを突破し、その争いを制することが出来なければ、
世界の覇者になることは難しい。

「相手の得意な技術や攻撃を打ち砕いて勝つ」という
困難な目標に向かって、チャレンジすることに喜びを感じる選手に
なって欲しい・・・・・と私は心から願っている。

 

児玉圭司名誉総監督

昭和35年~45年
明治大学体育会卓球部監督
昭和45年~令和2年
明治大学体育会卓球部総監督
令和3年~現在
明治大学体育会卓球部名誉総監督

(株)スヴェンソン 代表取締役会長

日本学生卓球連盟 名誉会長

明治大学駿台体育会 名誉会長

昭和31年
世界選手権シングルスベスト16
昭和40年
第28回世界卓球選手権 日本代表監督
昭和48年
第32回世界卓球選手権 日本代表監督
昭和50年
第33回世界卓球選手権 日本代表総監督兼監督