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児玉語録

児玉語録9月号『失敗を成長の糧にしよう(蛻変)』

2008/09/02

北京オリンピックについて感じたこと。
男子チームは、現在の力では金メダルはムリとしても、

銀メダルは目の前にぶら下がって
掴み取ることが出来るかどうかのところで、

爆発したチーム力が発揮出来ずに逃してしまった。つぶさに観戦していて、

非常に残念な思いをした。

今回の男子チームは、
水谷選手を中心として若さを爆発させて挑むチームだったのか、
韓陽を主力として考え、後を若手に期待するというチームと考えたのか、
二つの考え方があったと思う。

男子監督は、後者を選択したオーダーを組んだのであろう。
結果を批判するつもりはないが、オリンピック代表を決定した時の基本は、
前者の考え方ではなかったのか・・・と信じていた。
一卓球人としては、その基本が最も大事な場面で、

ぶれてしまったことが、残念に思う。


「蛻変(ぜいへん)」という言葉がある。
昆虫が卵から幼虫になり、さなぎになり、

成虫に変わるさまのことを「蛻変」という。
蝶も、青虫がさなぎになって、脱皮をして美しい蝶になるのです。

人間も同じです。
卓球を始めたときには、どうにもならなかった人が、数年後、10年後には、
日本のトップレベルで活躍し、日本一となり、

世界の覇を争うようになったりします。
「蛻変」とは、このように全く変わるということです。

失敗というのは、恐れることではない。
誰でも失敗して、賢くなって進歩するものだから。
成功や夢の実現へと続く道で、必ず出会うもの。
勝負強さを鍛えるためには、なくてはならない経験です。


常に輝いている人とそうでない人、を分ける要素は、ただ一つ。
それは「失敗や逆境を克服する力」があるかないかです。
失敗をどのように克服し、「勝負強さ」とか「真の実力」という

“財産”に変えられるか。大切なのは、失敗してもなお、

「挑戦力」を失わない気概です。
失敗の先にあるものを、しっかり見据え、前進する力、

挑戦する力を鍛えてほしい。

困難に直面したら「どうするか」ではなく、
「いかにして」その困難に対処していくかが大切だ。
勝負強さは、こうした道程で養われていくのです。

どんなに大きな障害であっても、それは重要な問題ではない。
大切なことは、失敗についての認識を変えれば、

自分の人生は変わる・・・ということを知っておくことです。

どんな試練にぶつかっても、間違いを起こしても、

不幸なことに出会っても、
人間には誰にでもそれを克服する潜在能力がある。
あとは、失敗を「成長の糧」にする方法を学べばいい。

失敗の責任を取り、失敗するたびに学び、

失敗は自分が進歩するための一部だと考える。

どんなに難しい問題であっても、それを克服する鍵は自分自身が握っている。
そして、自分以外の誰も、自分を変えることはできないということを

知っておくことが大切です。蛻変するときは、大きな変化をするけれど、
そこに至るまでには継続して小さな変化が起きてきます。

その小さな変化の積み重ねなくして、蛻変などはあり得ません。

いかにして困難を克服するかを考え、前進する力、挑戦する力を鍛えて、
「ここぞ」という時に「ギアチェンジ」をして、レベルアップすることに、
喜び楽しさ自分自身に期待を持つことによって、

飛躍的な成長を遂げる力となります。この繰り返しが、

結果として蛻変につながるのです。


 

児玉圭司名誉総監督

昭和35年~45年
明治大学体育会卓球部監督
昭和45年~令和2年
明治大学体育会卓球部総監督
令和3年~現在
明治大学体育会卓球部名誉総監督

(株)スヴェンソン 代表取締役会長

日本学生卓球連盟 名誉会長

明治大学駿台体育会 名誉会長

昭和31年
世界選手権シングルスベスト16
昭和40年
第28回世界卓球選手権 日本代表監督
昭和48年
第32回世界卓球選手権 日本代表監督
昭和50年
第33回世界卓球選手権 日本代表総監督兼監督