児玉語録11月号『 「シンプルな基本」 の重要性 』を掲載
2012/11/01
児玉語録11月号『 「シンプルな基本」 の重要性 』
(津波てんでんこ)
最近、「“体幹”を鍛えることによって、一段とレベルが上がり、
成績もよくなった」というように、スポーツ界でも多くの競技で
“体幹”という言葉が使われるようになり、
新聞雑誌・テレビなどでもよく目にしたり、耳にしたりします。
辞書を引くと「動物体の主要部分・胴」
インターネットでは「体の主要部分・胴体」
と簡単な説明ですけど、要するに体全体の動きをつかさどる
“軸” “心棒”と考えればいいでしょう。
今の時代、我々の活動はグローバルで厳しい競争を強いられていて、
尚かつ展開のテンポが、もの凄く早いですから尚更、
幹(基本)をしっかり持っていなければいけません。
特に勝負の世界では、
その判断と決断の難しさが紙一重の差になって表われています。
その上決断した後の思い切りのよい行動力が勝敗を分けてしまうものです。
ところで、東日本大震災の際、釜石で素晴らしい判断をして見事に行動した
子供達がいたことを知りました。
学校にいて、津波の襲来を知った中学生が「津波だ逃げろ」と叫んだ。
これを聞いた中学生と隣の学校の小学生が、彼の後を追って一目散に逃げた。
泣きながら続く子供もいたそうです。
そして登校生の全員が助かったんです。
身に染み付いた「津波てんでんこ」の教えが子供達を救ったのだと
地元の人は言っています。
「てんでんこ」とは、どういうことかというと
「各自」「めいめい」を意味する名詞「てんでん」に、
東北方言などで見られる縮小辞「こ」が付いた言葉。
すなわち、「津波てんでんこ」「命てんでんこ」を直訳すると、
それぞれ、「津波はめいめい」「命は各自」となります。
「津波てんでんこ」「命てんでんこ」を防災の教訓として解釈すると、
それぞれ「津波が来たら、取る物も取り敢えず、肉親にも構わずに、
各自てんでんばらばらに一人で高台へ逃げろ」「自分の命は自分で守れ」
というわけです。
また、自分自身は助かり他人を助けられなかったとしてもそれを非難しない、
という不文律にもなっている。
昨年の東日本大震災においては、「津波てんでんこ」に反して
自宅に家財道具を取りに行ったり、家族を迎えに行ったりして、
結果、津波に飲み込まれたケースが多かったと聞きます。
釜石市立釜石東中学校では「津波てんでんこ」を基に、
生徒たちが教師からの指示も待たずに各自高台へと避難した。
その結果、校舎が津波に飲み込まれたにも関わらず、
登校者全員の無事が確認され、
「釜石の奇跡」とマスコミなどで大きく報道されました。
昭和8年の「三陸大津波」と昭和35年の「チリ地震津波」
を体験したお年寄り達が、津波が来たら何を置いても、
とにかく逃げろという昔からの津波伝承を語り継いできたのだそうです。
とっさの行動を促した紙一重の判断を支えたのは、
昔からのシンプルな教えだった。
何事も判断する際には、このようなシンプルな基本に則っていくということを
忘れてはいけない・・・と思っています。
それでは、卓球における「シンプルな基本」とは何か、と考えてみると
心 平常心(不動心)・対応力・判断力・決断力・実行力
(詳細は98年12月号参照)・思いは叶う・イメージ力・熱意・勇気・忍耐・
あきらめない執念・情熱があれば事は成る
技 サービス・レシーヴ ・ フットワーク(左右・前後)
打球点の追求 ・ 大小スイングの使い分け
体 瞬発力 ・ 持続力
足が動かなければ、思い切ったプレーはできない。
体力がなければ、技術の限界は伸びない。
壁に突き当り、思う通りにいかない時は、以上のような「基本」に戻り、
一日も早く気持ちを切り換えることが大切である。
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児玉圭司名誉総監督
昭和35年~45年
明治大学体育会卓球部監督
昭和45年~令和2年
明治大学体育会卓球部総監督
令和3年~現在
明治大学体育会卓球部名誉総監督
(株)スヴェンソン 代表取締役会長
日本学生卓球連盟 名誉会長
明治大学駿台体育会 名誉会長
- 昭和31年
- 世界選手権シングルスベスト16
- 昭和40年
- 第28回世界卓球選手権 日本代表監督
- 昭和48年
- 第32回世界卓球選手権 日本代表監督
- 昭和50年
- 第33回世界卓球選手権 日本代表総監督兼監督