児玉語録3月号『直感・定跡(基本)・考える・行動』を掲載
2016/03/01
『直感・定跡(基本)・考える・行動』
(将棋の谷川浩司会長に学ぶ)
東京ロータリークラブで日本将棋連盟会長の谷川浩司九段の卓話を聴かせていただいた。
将棋ファンの方によくされる質問が、「プロの棋士は何手先まで読むのですか」です。
実は答え方がなかなか難しいのです。
将棋の調子がいい時は千手と答えることもあれば、百手と言う時もあり、
あまり自信がない時は「一手読めればいいのです」と答える事もあります。
いい加減なようですが、どの答えも事実という一面があります。
また、プロ棋士は直感を一番重視します。
今まで培ってきた知識、経験、感覚、個性などから9割以上の選択肢をまず捨ててしまい、
残りの1割を深く読む作業を進めていきます。
プロの直感は9割が正しいのです。そうでなければプロになれないと言えます。
「名人に定跡なし」という言葉があります。 定跡は常識といってもいいと思います。
トップ同士の対局では、検討・研究をしているプロ棋士も全く気が付かない手が
一局の中では何度か出てくるのです。もちろん、常識はプロであれば皆分かっています。
でも、常識的な手だけを指していたのではなかなかトップにはなれない。
その中にどれほど強烈な個性をプラスアルファできるかが、
超一流になれるかどうかの鍵になると私は思っています。
何が本筋(常識)かわからない人はプロにはなれない。
ただし、本筋の手しか指せない人は一流、超一流にはなれないと思います。
この十年程は、常識外の最善手を見つけ出すことが
将棋の醍醐味ではないかと思うようになってきました。
卓球の場合でも、重要な試合になればなる程、
大事な場面での直感のひらめきは非常に大事です。
卓球は何手先を読むか?・・・ 私がナショナルチームの監督時代の調査結果では、
1ポイントの勝負は平均4、5本だった。
現在は、ボールも大きくなり、用具も進歩しているので、ラリー回数は多くなっていますが、
それでも平均すれば5~6本で勝負はついていると思う。
だから、相手の選手を徹底的に分析し、5手、6手位で勝負をつけるシステムを作り、
訓練することが重要になってくる。
分析することによって、イメージも沸いてくるし、対応力もつき、自分でも驚くほどの結果が
出てくるものである。このように考える選手が最近少なくなっていることを私は残念に思っている。
上記のように「考える選手」が努力することによって、一流、超一流になっていくのである。
サッカーの場合でも、ここでドリブルしたら相手の陣形がどう変わるのか、
そこにフリーランニングしたら、周りはどう動くのか。
それによって、スペースがどこに空くのかを考えて、プレーする習慣をつけることが大事で、
指導の現場では、よく「考えてプレーしろ」と、指示が飛ぶが、
もしかしたら、何を考えていいのか分からない選手が多くなっているのではないか・・・
もっとしっかりと「考える選手」を育てなければならない、と嘆く解説者が多い。
卓球は、瞬発力のマラソン競技で、しかも、相手との距離が近い格闘技ですから、
定跡(常識)といえば、心・技・体の基本をしっかり鍛えなければなりません。
○ 心 ・・・
(平常心・対応力・判断力・決断力・実行力)の強化
« 児玉語録2月号『20年を振り返り 感謝!』を掲載 | 児玉語録4月号『新年度をキッカケに自己運を開こう!』を掲載 »
児玉圭司名誉総監督
昭和35年~45年
明治大学体育会卓球部監督
昭和45年~令和2年
明治大学体育会卓球部総監督
令和3年~現在
明治大学体育会卓球部名誉総監督
(株)スヴェンソン 代表取締役会長
日本学生卓球連盟 名誉会長
明治大学駿台体育会 名誉会長
- 昭和31年
- 世界選手権シングルスベスト16
- 昭和40年
- 第28回世界卓球選手権 日本代表監督
- 昭和48年
- 第32回世界卓球選手権 日本代表監督
- 昭和50年
- 第33回世界卓球選手権 日本代表総監督兼監督