児玉語録5月号『人間力を高めよう』を掲載
2017/05/01
『人間力を高めよう』
我々を取り巻く環境が、どんなに変わろうとも、人間の本質は何も変わりません。
人間は、誰でも社会に関わりを持たず、一人で生きていくことはできません。
では、その社会の中で、自分が気分よくいられるのはどういう常態かといえば、
周りの人から温かく接してもらい、自分の存在や立場が認められる、ということでしょう。
そのためには「人間力」を鍛えることです。
人の魅力を語るとき、よく「人間力」という言葉が使われます。
この人間力とは、一体何を指しているのか。
人間力が高い人とは、心の痛みがわかる人でしょう。
人の気持ちと向き合うことは、易しいことではないと思う。
ましてや、それが喜びや楽しみではなく、痛みや苦しみであればなおさらのこと。
感情移入すればするほど、自分の心が揺さぶられ、精神的に疲れてしまう。
しかし、この苦痛と戦わない限り、人間力は高まらないだろう。
私たちは日常、必ず人と関わっています。
ふとしたときに、誰かの心の痛みや、苦しみに触れることがある。
そんなとき、私自身、『相手の心に真剣に正対しているだろうか。
もし、自分の感情が強く動かされたにもかかわらず、無視をしていたら、
やがて、その人の痛みさえも気付かないようになってしまうのではないだろうか』・・・と、
不安になってしまいます。
人間力とは、内閣府の人間力戦略研究会の報告によれば、
「社会を構成し、運営すると共に、自立した一人の人間として、
力強く生きていくための総合的な力」 と定義されています。
若者に夢と目標を抱かせ意欲を高めるため
① 「思考力」「創造力」などの知的能力
② 「コミュニケーションスキル」「リーダーシップ」「他者を尊重しお互いを高め合う力」などの
社会・対人関係力
③ それらを発揮するための
「意欲」「忍耐力」「自分の生き方や成功を追求する力」などの自己制御力
これらをバランス良く高めることが人間力を高めることといっています。
サッカー アテネ・オリンピックの山本昌邦 監督は、「オリンピックでは人間力が試される」
読売ジャイアンツ 原辰徳 前監督は、
「阿部は、人間力において、非常に強いものを持っているので、
ちょっとやそっとのことでは動じない精神的な強さ、プレッシャーをプラスに変える強さがある」と言っています。
母校に対する愛情、チームメイトに対する愛情、
先輩たちが築き上げてくれた伝統に対する愛情と、それらに対する感謝の心、
親や指導者に対する愛情と、感謝の心、等々が人間力の基盤になると思います。
社会人になれば、必ず仕事をする。
君達は卓球が好きで、卓球の道を究めたいと、猛烈に訓練をする。
学業と卓球が仕事である。
本質的に、「仕事」(卓球)というものは、豊かな活動で、実に尊いものです。
本来仕事には、目に見えない報酬があるのです。
仕事というのは、それ自体、生命力を持っています。
その仕事(卓球)に出会えたこと、その仕事で結果を残せること、
それ自体が大きな報酬 「仕事をやる報酬は仕事だ」という考え方、
その仕事で、腕が上がり、
仕事のスキルが身に付いてきて、そしてその面白さを味わってくると、
「仕事をやる報酬は能力だ」と考えるようになる。
そして、一生懸命に仕事(卓球)をやって能力を磨いていく。
人脈を広げていく。
すると、面白い仕事がどんどんできるようになってくる。
「心を込めてやれば、どんな仕事でもどんなに苦しい訓練でも面白い」というようになってくる。
その時点で、「仕事をやる報酬は何か?」と聞かれたら答えは、はっきりしています。
「仕事をやる報酬は成長です」ということになる。
「仕事をやる報酬は仕事だ」という領域を超えて、働くことの報酬は、人間としての成長です。
仕事(卓球)を通じての成長というものは、決して失われることのない報酬です。
本当の喜びも、厳しさも、ぬくもりも、すべて仕事(卓球)が教えてくれるのです。
目に見えない報酬を増やしていきましょう。
生きるということは、
最後まで自分の可能性を諦めず、
与えられた才能や、日々の仕事に、努力し続けることです。
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児玉圭司名誉総監督
昭和35年~45年
明治大学体育会卓球部監督
昭和45年~令和2年
明治大学体育会卓球部総監督
令和3年~現在
明治大学体育会卓球部名誉総監督
(株)スヴェンソン 代表取締役会長
日本学生卓球連盟 名誉会長
明治大学駿台体育会 名誉会長
- 昭和31年
- 世界選手権シングルスベスト16
- 昭和40年
- 第28回世界卓球選手権 日本代表監督
- 昭和48年
- 第32回世界卓球選手権 日本代表監督
- 昭和50年
- 第33回世界卓球選手権 日本代表総監督兼監督